2010年5月28日金曜日

荀子「性悪説」①

お久しぶりです。Morimotoです。

早速ですが、予告どおり前回の続き、「荀子」について書いてみたいと思います。

荀子(B.C. 313 ~ B.C. 230)は孟子(B.C. 372 ~ B.C. 289)とほぼ同時代の人といっていいと思います。孟子を戦国時代前期とすれば、荀子は戦国時代末期ということになります。それにしても両者ともに長生きですね。2000年以上前だということも考えるとなんだかすごい気がしませんか。

さて、孟子の「性善説」に対して「性悪説」を唱えた荀子ですが、まずはその内容を少し見てみることにします。

孟子曰:“人之性善。”曰:是不然。

孟子が人間は善なるものであることを言っているのに対して正面からこれは違う、と否定しています。続いて、

凡古今天下所謂善者,正理平治也;所謂惡者,偏險悖亂也:是善惡之分也已。

まずは、何が善で、何が悪なのかを示しています。彼が言うには、善とは、行いが正しい、理にかなっている、安定している、秩序がある、です。それに対して悪とは、不公平で質が悪い、陰険、誠実でない、反乱を起こす、です。

ここまで読んで、みなさんはどちらだと思いますか。本質的に人間は、善なのか、悪なのか。ここで、思い出してください。孟子は、決して人間が生まれながらにして善であるとは言っていませんでしたね。善につながるものをもっていると言っています。荀子はそれに対してではなく、結果的に人が善であるか悪であるかに焦点をあてて、善であることを否定しているように思われます。なるほど、現実に目を向ければ、人間が善だとはとても思えなかったのかもしれません。しかしながら、それは孟子に言わせれば、十分に自分の持っているものを伸ばしきれなかった人であり、人間の本質ではないのです。

荀子はこの後どう続けていくのでしょうか。当時、荀子が孟子の言っている「性善」の意味をどうとらえていたかということは、興味深い話です。

次回は、荀子「性悪説」の続きを書いてみたいと思います。解釈にずれがあると思う方はご指摘ください。

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